第10期を迎えて

第10期を迎えて

当社は、2024年10月をもちまして、第10期目を迎えます。

これまで非常に多くの皆様に支えられ、運良く会社経営を続けられてきたという実感しかございません。
この場をお借りして、心から感謝申し上げます。

私たちの仕事は「組織にとって好ましい変化を起こすこと」と心得ております。そのためには、組織を前進させなければなりません。変化を起こすことが先には来ません。

あるいは、「目には見えない的を狙って当てること」でもあります。その的は、どこにあるのかわからなかったり、時間が経ってから現れたりすることもあります。しかし、一本の矢を放たなければ何も起きません。ゼロはいつまで経ってもゼロのままです。

世の中が便利になり、効率を追い求めてきた結果、私たちは変化や成長も速い方が良いと無意識に思っている節があります。つまり、短期的な結果を追い求め続けているのかもしれません。

様々な現場と、組織と社会の現実を見てきて、これからますます「人の育成」こそがカギになると痛感しています。ある程度の業務合理化を進めつつも、人を採用できないことが前提になれば、既存メンバーで何とかするか、これまでとは全く異なるタイプの人たちに協力してもらうしかありません。

ただし、教育には時間とお金と根気が必要です。

人を育てようと思ったとき、多くの中小企業が、ここに来て初めて、自らがとんでもないツケを抱えていることに気づくことになります。年を重ねたメンバーにも今から教育を行うのか、はたしてそれは効果があるのか、やるとすればどうするのか。

若い人や新しいメンバーを教育するにも、それはどのようにすれば良いのか。教えることはたくさんあるかもしれないが、それはどこに何が明文化されているのか。そして、誰が、どのように教えるのか。

どれだけ人材育成を行おうとしても、負のリターンがもたらされる状態。これまで教育に力を入れてこなかったがために、借金のようなものを返そうとがんばるけれども、元本と利率が大きすぎて利息が増え続け、一向に借金は解消しない。当社では、これを「教育負債」と呼んでいます。

また、個人として有能な経営者に見られる共通点として「自己学習は当たり前バイアス」があります。

組織からすれば、会社がお金や時間をかけずに勝手に学んでくれて、勝手に問題を解決したり、改善したり、自己管理してくれれば、これほどありがたいことはありません。優秀な人は、これが当たり前だし、これまでもそうしてきたので、いつの間にかそれが当たり前だと無自覚に思い込んでいることがあります。

しかし、現実はそのようにできていません。

人が自分から学ぶことを求めるよりも、学ぶ機会をつくったときにまじめに学ぶことを求める方がよほど現実的です。

ただ、人数を抱えている中小企業ほどこの問題に直面しますが、往々にしてすぐには結果が見えづらいため、無意味ではとか、内容が、とか誰かのせいにし始めます。

よく考えてみると、国が多額の税金をかけている義務教育は果たして無駄なのでしょうか。100%が100点満点で役に立っていると答える人はいないかもしれません。世の中の成功者が「今の自分があるのは義務教育のおかげだ」とか見聞きしたことがありません。

しかし、義務教育がなかった自分の存在を反証として示せない以上、教育効果は悪魔の証明の範囲内にあると言えます。

子どもの教育にお金をかけられるかどうかが、将来年収などの差に現れる「教育格差」の問題も指摘されています。それは、企業も同じような話かもしれません。

このようなことを念頭に、当社の第10期目は「人を育てる」をテーマに、自社・お客様ともに励んでまいる所存です。

最後までお読みくださり誠にありがとうございました。

今後とも精進を続けてまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

株式会社ライクブルー
代表取締役 池田治彦