第七期を迎えて

第七期を迎えて

当社は、2021年10月から第七期目を迎えました。本当にたくさんの方々に支えられてここまで来られたことに、改めて感謝しております。

多くの人たちの希望をよそにして、コロナ禍はいまだに終息する見込みが立っていません。「進化」とは生存環境の変化に適応していくことですが、同時に、厳しい環境下でも着実に前進し、力をたくわえていく「進歩」も非常に重要であると私たちは学びました。

特に、賛否両論のなか開催された東京オリンピックでは、不屈の姿勢と実力発揮の背景に、選手たちの日々の努力と厳しい鍛錬の跡を見て、感動を覚えたのは事実です。

困難な状況の中でも、前を向いて何かに挑戦しなければ、滅びゆくだけです。そこで、私たちは昨年から今に至るまで次の新たなチャレンジを繰り返してきました。

1.組織開発の新しいあり方の模索

アナログ、対面での取り組みが当然であった組織開発は、オンラインを活用した新しい局面を迎えています。

これまで業務や移動時間の関係で参加できなかった人たちも、オンラインの活用によってひとつの場に参加することが可能となりました。オンライン・コミュニケーション慣れが進んだことで、参加者の関わり度合いがかえって高まることになりました。

全員が同じ場で、同じテーマについて議論し、創造していくプロセスがオンラインを通じてでも可能であることは非常に大きな成果となりました。

2.オンラインによる新たなつながり作り

2020年8月に開発した「ビールゲーム・オンライン」は、従来アナログ・対面形式で実施されていたコンテンツをオンライン化したものです。

ありがたいことに様々な方面からお問い合わせを頂き、恐らく以前であればつながることもなかったような方々とコミュニケーションを取ることができ、事業の新たな展開を見ました。

オンラインの可能性は非常に大きく、今後は世界中の人と事業を通じてつながる機会の創出を目指して精進したいと思いを新たにしました。

3.スタートアップ・ゲームの開発

「ビールゲーム・オンライン」の開発により「教育・学習コンテンツのオンライン化」に大きな価値を実感したため、次はオリジナルのコンテンツをつくりたいと思い、「スタートアップ」をテーマにしたゲームの創作に取り掛かりました。

政府は「起業大国」を目指すと言いながらも、その支援は限定的です。また、支援は起業を増やすことに焦点が当てられ、その後の経営安定化については言及がありません。

実際、個人的な経験を踏まえると、起業も大きな壁はありますが、起業後に経営基盤を確立し、年を追うごとに変化する状況に合わせつつ、新しい取り組みを繰り返さなければ生き残る道が無いと感じます。平成18年度『中小企業白書』によれば、中小企業の起業後5年後生存率は42%、10年後26%とされており、起業することを主眼に置くよりも、起業後にいかに安定的な経営ができるかが主題となるべきです。

そこで、起業フェーズと経営フェーズを、リアル(現実)とエンターテイメント(楽しさ)の絶妙なバランスによって起業経営体験ができるようなゲームを、半年間かけて2021年6月に開発しました。

オンラインで体験できるため、都内の大学の特別講義で学生にスタートアップを教える目的で利用したところ、非常に良い反応を得ることができ、大きな手ごたえを感じました。また、実際に起業をした人にもプレーしてもらったところ、起業経営の追体験により新たな気づきが得られ、同時に楽しめることも確認しました。

今後は市販できる状態に持っていくため、展開の方向性を定めたいと思います。

4.中小零細企業・個人事業主のDX推進

「オンライン/クラウド化」や「デジタル化」を通じて生産性を高め、ES、CS、収益を高めることにつなげるDX(デジタルトランスフォーメーション)がコロナ禍で注目されています。

当社は、複数拠点を持つお客様の売上情報共有について、これまでFAXとExcelで行っていた業務をすべてクラウド化しました。

この結果、15拠点における売上情報共有にかける作業時間を、1日あたり20分×15人分=300分、月間で150時間(9000分)、年間で1800時間の削減につながりました。この20分を、もっと付加価値の高い仕事に充てることができるため、生産性は非常に高まったと言えます。

また、毎日使用していた15枚のFAX紙は不要となりましたので、月間で450枚、年間で約5400枚の紙使用量も削減することになり、地球環境にやさしい業務の実現となり、DXの社会的意義にも気づくことになりました。

また、個人事業主のお客様では、これまでスタンドアロン型の顧客管理システムを30年以上も駆使してこられましたが、当社開発の業務アプリにより、複数PCでの即時の情報共有、PC間のメールのやり取りがなくなり、毎日10分~20分の作業時間を複数人の間で削減して、よりサービスに集中する環境を整えることができました。「データ共有にかけていた時間と負担が減り、スタッフに安心して仕事を任せられるようになった」という声を頂き、小規模事業者におけるDXの効果を改めて実感しました。

今後の取り組みについて

様々なお客様とのやり取りを通じて、事業の核心的な資源とは「時間」であることを痛感しています。

組織として時間の使い方がまずければ、組織開発には前向きに取り組めませんし、ESやCSの向上にはつながりません。経営は全従業員の時間を預かっていることを自覚し、それをいかに生産性高く、全体の満足度や納得感高く活用できるかどうか、その「時間の信託観念」がカギになっています。

信託された時間の有効活用のツールがITであり、当社は、ソフトとハードの両面に通じていることを強みとして、今後さらなる進化・進歩を遂げてコロナ禍を乗り切ってまいりたいと思います。