久留米大学医学部医療経営研究センターへの研究協力「オンプレミスAIによる電子カルテ要約業務効率化」の内容が紀要論文に掲載されました

久留米大学医学部医療経営研究センターへの研究協力「オンプレミスAIによる電子カルテ要約業務効率化」の内容が紀要論文に掲載されました

株式会社ライクブルーは、久留米大学医学部医療経営研究センターとの研究協力を実施いたしました。実証実験において、実際の医療実務に耐えうるレベルの高精度な出力を確認しています。

本システムは当時のGoogle最新軽量オープンモデル「Gemma 3(※)」とデータの虚偽出力を防ぐ「RAG(検索拡張生成)」、各病院のニーズにカスタマイズできる「ファインチューニング」を組み合わせています。
※ 本研究は2026年2月までに実施したもので、最新モデル「Gemma 4」登場以前の検証を実施しております。

1. 研究協力の背景:医療現場の「セキュリティの壁」

現在、医療現場では医師やスタッフの長時間労働が深刻な課題となっています。特に、患者の転院や入退院の際、医師が過去数年〜10年分に及ぶカルテを遡って読み解く「診療サマリー(要約)」を作成する業務が、病院によっては専用のスタッフを配置するほど大きな負担です。

しかし、医療データは個人情報であるため、一般的なクラウド型AI(外部のインターネット経由のサービス)は情報漏洩リスクがあり、利用が難しい状況です。さらに、医療用語やカルテの書き方は病院ごとに異なるため、既製品のAIをそのまま導入しても現場の運用に馴染まないという課題もありました。

この「セキュリティ」と「業務への適合」 という2つの課題を解決するため、弊社では院内ローカルネットワークだけで完結し、かつ病院ごとに最適化できる 「オンプレミスAI」の構築という形で、久留米大学医学部医療経営研究センターの研究に協力いたしました。

2. 本システムの特徴:安全・高精度、環境に合う「柔軟なカスタマイズ」

1.ファインチューニングによる「カスタマイズ」
 病院独自の医療用語や、その病院ならではの表現やカルテの書き方をAIに追加学習させることができます。これにより、「自院専用のAI」へと育てることが可能です。

2.オンプレミス環境と「RAG」の融合 
 外部から遮断された安全な院内サーバー環境でありながら、AI(Gemma 3)と院内の電子カルテデータを安全に連携。AIが実際のカルテデータを直接参照して高度な要約や検索を行うため、データの虚偽出力を防ぎ、高い実用性を実現しています。

3. 医師も認めた「1分間」の効果

久留米大学医学部において実施された実証実験では、ダミーの診療履歴を用いたテストを行い、以下を記録しました。

1.1分以内での要約生成
 500〜1000文字程度の重厚な診療サマリーを、概ね1分で出力。

2.追加質問への高速応答
 同一データに対する「特定の薬の投与時期」などの追加質問に対しても、  概ね1分以内で的確に応答。

この結果は、「1症例あたり約50%の業務時間削減」を達成するための十分な技術的裏付けとなります。医師資格保有者からも、「実際の医療実務に耐えうるレベルである」とのお声を頂きました。

命を預かる医療現場のDXに携われたこの経験は、弊社にとって初めての経験となり、とても意義深いものになりました。

▼掲載紀要論文

オンプレミス型生成AIによる電子カルテ要約支援チャットボットの試行的開発Gemma3 + RAG による閉域運用設計とその評価