基本編 / 第7章
Chapter 07 / 08

Automation で処理を自動で進める
誰かが押さなくても動く仕組みを理解する

Action が「ユーザーが押して動く」機能だとすると、 Automation は 条件がそろった時に、自動で処理を進める 仕組みです。 この章では、Bot・Event・Process の流れ、Action との違い、 さらに Gmail 通知Google Chat 通知webhookGAS 呼び出し まで視野に入れて学びます。

Chapter Mission

第7章:人の手を減らし、処理の流れを自動化する

Automation は、入力や更新のあとに 通知を送る状態を変える次の処理へつなぐ といった流れを自動で実行します。 単発の操作ではなく、業務プロセス全体を見る視点が大切です。

この章のゴール
  • Automation の役割を説明できる
  • Bot / Event / Process の違いが分かる
  • Action との使い分けができる
  • 通知と外部連携の入口を理解できる

Automation の基本

Automation は、 ある条件をきっかけにして、自動で処理を進める仕組みです。

たとえば「申請が作成されたら承認者に通知する」 「返却予定日を過ぎたらアラートを送る」 「状態が承認済みになったら別の記録を作る」などが代表例です。

重要なのは、 誰かが毎回押さなくても、ルールどおりに動く という点です。

手間を減らす
毎回同じ確認や通知を人が行わなくて済みます
流れを止めない
登録後の次の処理を自動でつなげられます
抜け漏れ防止
人による忘れや対応漏れを減らしやすくなります
Automation Concept
Before
人が毎回やる
  1. 1. 登録内容を確認する
  2. 2. メールやチャットで連絡する
  3. 3. 状態を変える
  4. 4. 関係者に共有する
Automation で自動化
After
条件がそろうと自動で実行

登録や更新をきっかけに、 通知・状態変更・次の処理開始までを自動で流せます。

Bot / Event / Process の流れ

Event

何をきっかけに動くかを決めます。
例: 追加時、更新時、日時到達時

Bot

Event を受けて、どの Process を起動するかをまとめる本体です。

Process

実際に何をするかを定義します。
例: 通知、更新、分岐、記録作成

Event = いつ動くか

登録された時、状態が変わった時、毎朝9時、期限を過ぎた時など、 トリガーの条件を決めるパートです。

Bot = 何を起動するか

きっかけを受け取って、どの Process を走らせるかをつなぐ役割です。

Process = 何をするか

実際の通知・更新・条件分岐など、業務処理そのものを組み立てる場所です。

Action と Automation の違い

Action

  • ・ユーザーが押して実行する
  • ・その場で行いたい操作を短縮する
  • ・ボタンの置き方、見せ方が重要
  • ・「今すぐやる操作」に向いている

Automation

  • ・条件がそろうと自動で実行される
  • ・通知や後続処理を流すのに向いている
  • ・Bot / Event / Process の流れで設計する
  • ・「押さなくても進めたい処理」に向いている

判断に迷った時の基準

今、ユーザーに押してほしいか

YES なら Action の候補です。

押さなくても進んだ方がよいか

YES なら Automation を検討します。

後続処理や通知が必要か

複数ステップに広がるなら Automation が向いています。

よくある業務自動化の例

申請が登録されたら承認依頼を送る

申請系
Event
申請レコードが新規追加された時
Process
承認者へ通知を送り、状態を「承認待ち」にする
効果
登録後の連絡漏れが減り、処理が止まりにくくなる
Flow Image
申請を登録 新規
Automation 発火 承認待ち
承認者へ通知 次工程へ

貸出記録が作られたら備品状態を更新する

備品管理
Event
貸出履歴が新規作成された時
Process
親テーブルの備品ステータスを「貸出中」に更新する
効果
履歴と在庫状態のずれを減らし、更新忘れを防ぎやすい
Flow Image
貸出履歴を追加 履歴
Automation 発火 更新
備品状態を貸出中へ 整合

返却予定日を過ぎたものを毎朝通知する

通知系
Event
毎朝9時に実行
Process
返却期限超過のデータを抽出し、担当者へ通知する
効果
毎日の手動チェックを減らし、催促漏れを防ぎやすい
Flow Image
毎朝 9:00 定期
期限超過を抽出 条件判定
担当者へ通知 実行

Gmail 通知と Google Chat 通知

Automation の分かりやすい使い道が 通知です。

誰かが画面を開きに来るのを待つのではなく、 申請作成や期限超過のタイミングで 必要な人へ、必要な場所へ知らせる ことで、業務の流れが止まりにくくなります。

その代表が Gmail への通知と Google Chat への通知です。

Gmail への通知

個別通知・正式連絡に向く
向いている場面
承認依頼、申請完了通知、期限超過通知、外部関係者への連絡
強み
個人宛に届きやすく、件名や本文を整えて正式な通知として使いやすい
注意点
送信頻度が高すぎると埋もれるため、本当に必要な通知だけに絞ることが重要

Google Chat への通知

チーム共有・即時共有に向く
向いている場面
新規申請の共有、障害・期限超過の即時連絡、担当チームへの周知
強み
チーム全体に素早く見せやすく、やり取りの流れの中で確認されやすい
注意点
重要度の低い通知を流しすぎると、かえって重要な通知が埋もれやすくなる
Gmail を選びやすいケース
  • ・承認者本人へ確実に届けたい
  • ・件名、本文、履歴をきちんと残したい
  • ・社外や個別連絡として扱いたい
Google Chat を選びやすいケース
  • ・チームにすぐ共有したい
  • ・日常の業務連絡の流れに載せたい
  • ・複数人で状況把握したい

webhook 活用と GAS の呼び出し

Automation は AppSheet 内の通知や更新だけでなく、 外の仕組みを呼び出す入口にもなります。

その代表が webhook です。 webhook を使うと、AppSheet のイベントをきっかけに、 外部システムへデータを送ったり、別の処理を起動したりできます。

Google Workspace をよく使う現場では、 Google Apps Script (GAS) を呼び出して処理を広げる 使い方が非常に実務的です。

webhook の考え方

AppSheet から外へ処理を渡す
できること
AppSheet の更新内容を外部 URL へ送信し、別システムの処理を起動できる
向いている場面
Chat 通知、独自 API 連携、別DB登録、帳票生成、外部ワークフロー起動
イメージ
「AppSheet でイベント発生 → webhook 送信 → 外部側で受けて処理」

GAS 呼び出しの考え方

Google サービス連携を広げる
できること
Spreadsheet、Gmail、Calendar、Drive、Docs など Google 系の処理を柔軟に動かせる
向いている場面
シート整形、メール文面の細かな生成、カレンダー登録、PDF作成、複雑な分岐処理
イメージ
「AppSheet → webhook → GAS Webアプリ → Google サービス処理」
Flow Example

AppSheet → webhook → GAS → Gmail / Chat の流れ

AppSheet

申請作成や状態変更をきっかけにする

webhook

必要なデータを外部へ送る

GAS

受信データを元に処理を分岐する

Gmail / Chat

通知や記録処理を実行する

webhook / GAS が特に役立つケース
  • ・標準通知だけでは足りない時
  • ・通知文や送信先を細かく制御したい時
  • ・Google サービスをまたいだ処理をしたい時
  • ・AppSheet の外にも結果を反映したい時
設計時の注意
  • ・連携先が増えるほど追跡しにくくなる
  • ・どこで失敗したか分かる設計が必要
  • ・送るデータを増やしすぎない
  • ・まずは小さな連携から始めると安全

迷わない Automation 設計の原則

良い Automation 設計
  • ・人が忘れやすい処理を自動化している
  • ・Bot の目的が1つずつ明確である
  • ・発火条件が分かりやすい
  • ・処理結果が追いやすい
  • ・通知や更新の対象が適切に絞られている
悪い Automation 設計
  • ・何でも自動化して流れが見えない
  • ・1つの Bot に役割を詰め込みすぎている
  • ・いつ発火するか分かりにくい
  • ・通知が多すぎて逆に読まれない
  • ・外部連携の失敗時を考えていない

初心者がまず意識したいこと

忘れやすい作業から始める

通知漏れ、更新漏れ、確認漏れなどに効きやすいです。

1つの目的で作る

Bot の役割を広げすぎると、後から管理しにくくなります。

Action と分けて考える

人が押すものは Action、自動で流すものは Automation です。

外部連携は小さく始める

まずは Gmail や Chat 通知、次に webhook / GAS と広げると整理しやすいです。

第7章のまとめ

Automation は、 条件がそろった時に自動で処理を進める仕組みです。 Action が「押して動かすもの」なら、 Automation は「押さなくても進むもの」と整理すると理解しやすくなります。

申請、通知、期限管理のような流れのある業務では、 Gmail 通知や Google Chat 通知を組み合わせるだけでも効果が大きく、 さらに webhook や GAS を使うと外部連携まで広げられます。

次の章では、AppSheet をスプレッドシート以外へ広げる 外部データベース連携 の考え方へ進みます。